この『ハンカチ』・・・わたしはこの『ハンカチ』の話をしたくて・・・君に会いに来た。この『ハンカチ』の持ち主はわたしではなく・・・その人はわたしの親友で、その人からわたしが預かって来たものだ・・・。彼は・・・何にでも「日付け」を書く習慣のある男で・・・ブーツを買えばブーツに何月何日と買った日の「日付け」を書き・・・家具を買えばその家具に「日付け」を彫刻した。結婚した日にはパンツにまで「日付け」を書き、友人たちから笑われていた。その男は我が国の陸軍の兵士で、この前の戦争で運悪く敵側に捕まって捕虜になってしまった。その兵士は拷問された。毎日のように・・・『おまえたちの隊は何人いるのか?』『どこから攻めてくるのか?』『武器の種類は何か?』『狙撃兵の隠れている位置を地図で指し示せ』。答えないでいるとくり返しくり返し痛めつけられた。彼は決して応える事はなかったが、心がくじけそうになった・・・。そして、くじけそうになった時・・・彼は持っていたこの『ハンカチ』を何がなんでも「守る」と心に決めた。この『ハンカチ』には1847年の9月20日と刺繍がしてある・・・。家族との思い出のある「日付け」なのだろう。家族を思う事が国を守る事につながるからだ。この『ハンカチ』だけが彼の「心のささえ」で、捕虜になっている苦痛と恐怖に耐えられたのだ。しかし、拷問される時・・・敵側にそのままだと取り上げられてしまう。彼はこの『ハンカチ』をどこかに隠さなければならない・・・。取り上げられて「心」までボロ切れのように捨てられるわけにはいかない・・・。牢獄のどこかに隠すのはとても無理だ。しかも拷問される時は素っ裸にされて体中の穴という穴を痛めつけられる。「口の中」も「鼻の穴」の中も「しりの穴」の中も。だが彼は「隠しとおした」。どこに隠したのか?最後まで隠してひと言もしゃべらなかったからこそ、わたしたちの隊は全員生き残れたし、わたしがこの『ハンカチ』をここにこうして持って来れている・・・。そして君は今7歳。これから話す事はとてもつらくて残酷な真実だが・・・君が男として大丈夫だと思ったからわたしは話しに来た・・・。この話は終わりまで続けなくてはならない・・・。彼はどこに『ハンカチ』を隠したのか?拷問を受けた時・・・すでに彼は左目をつぶされていた・・・。そのつぶされた左目を自分でくり抜いてこの『ハンカチ』を丸めてその空洞に隠し続けたんだ・・・。そして、この刺繍・・・9月20日は君の「生まれた日」だね・・・。愛する子供の「誕生日」。君のお父さんだ・・・。死後、君のお父さんを埋葬する時わたしが見つけた。

「愛国心」はこの世でもっとも美しい「徳」だ。

子を守るため、命をかけるのは動物も同じだが、国の誇りのため、命をかける事が家族を守る事につながると考えるのは「人間の気高さ」だけだ。狂信者とはまったく違う心。君のお父さんと親友でいれた事を誇りに思う。さあ・・・この『ハンカチ』は君のものだ。

ジョジョの奇妙な冒険 第7部 スティール・ボール・ラン87話より引用

ジョジョの奇妙な冒険 第7部 スティール・ボール・ラン87話にて、幼少期のファニー・ヴァレンタインにヴァレンタインが伝えたセリフ。大統領の「愛国心」がここからきてることがわかるシーン。SBRはこういうエピソードが全部良いよな。

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