自我が戻り曖昧な意識の中全てを理解した。僕はまた姉の優しい嘘に・・・守られたんだと・・・。牛乳を買いに行かせたのは時間稼ぎ・・・その間に去ることを願って。守ってくれたんだ・・・。死の淵に立ちながらも・・・命を懸けて僕を守ろうとしたんだ・・・。そうかぁ・・・僕は守ってあげられなかったのか・・・。途切れ途切れの意識の中、覚えているのは父の冷たく光る目だった。怖かった・・・。憧れていた父に初めて恐怖を感じた瞬間だった。そこからの記憶は曖昧だが、とにかく傷だらけの体を引きずって逃げた。父は追って来なかった・・・。この傷で助かる訳ないと思ったんだ・・・。意識がはっきりした時、俺はどこかの川沿いの茂みにいた。奇跡に近かった。本能が死を拒んだのだ。自分が逃げてきた道を振り返ることはしなかった。振り返っても誰もいないし、受け入れてくれる人もいない。あるのはこの傷と恨みだけ。
ママ・・・お姉ちゃん・・・僕は・・・恨みの鬼として生きていくよ。
ママとお姉ちゃんは天国でゆっくり休んで欲しい・・・。僕が2人の平穏を守るから・・・。パパを・・・あのクソ親父を2人の所へは逝かせない・・・。天国なんかに逝かせない。守るんだ・・・今度こそ・・・嘘じゃない・・・!親父を地獄の底へ叩き堕として2人を守るんだ。恨みが生きろと背中を押す。僕は歩き出した。僕の行き着く終着点もまた・・・地獄と知りながら。
桃源暗鬼50話より引用
桃源暗鬼50話にて、颯に家族を殺された際の皇后崎のセリフ。皇后崎のオリジン。父親への復讐のために彼は生きていたことがわかる。
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